China Beauty Headline|化粧品広告に30代以上の女性スターが起用され始めた理由

「Perfect Diary」親会社IPO、小紅書が他プラットフォームへのリンク解放、人気急上昇のスキンケアブランドのヒットの理由
臼井杏奈 2020.11.04
誰でも

今日は爆品解説ではなく、半年でGMVが100倍に成長した注目のスキンケアブランドを紹介しています。その他、新たな中国での広告起用のトレンドや、必読のニュースを送ります。

完美日記(Perfect Diary)ついに米国市場でIPOへ

「完美日記」のブランドアンバサダーTroye Sivan

「完美日記」のブランドアンバサダーTroye Sivan

PerfectDiaryの親会社である逸仙电商は10月30日、ニューヨーク証券取引所に上場申請を正式に提出した。IPOの引受人は。ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、CICCで、上場により最大1億ドルを調達する。逸仙电商は米国の株式市場に上場する最初の中国美容企業となる。同社の2020年第3四半期の調整後純損失は5億元(75億円)だった。

コメント:

また逸仙电商は、ピエール・ファーブル(Pierre Fabre)が所有する高級スキンケアブランド「Galénic」を買収したと発表しました。「Galénic」は中国市場で展開されるだけでなく同社により他のアジア諸国にも展開されます。この買収により4つのブランドを有することになり、国外ブランドは初。今年は国内で急成長中のコスメブランド「Little Ondine」を買収しており、どんどんと美容グループとしての成長を図っています。一部の記事では「中国のロレアル」と既に呼ばれていました(ちょっと気が早いけど)。メインブランドの「完美日記」もまた世界的に人気のポップスター、トロイ・シヴァン(Troye Sivan、写真)をブランドアンバサダーとして起用。世界へのアピールを始めています。

小紅書がタオバオへのリンクを開放へ

小紅書(RED)は10月末に突如、淘宝網へのリンク制限を解いた。小紅書は商品リンクの追加をサポートし、Tmall旗艦店に飛ぶことができる。

コメント:

これまでは小紅書も一つのECアプリであるので、外部ECへのリンクを貼ることができず、ユーザーは小紅書でレビューを見て自分で淘宝で検索していました。しかしこれにより公式にブランドやKOLが特定のページ(お得なセール商品など)を訴求することが可能になります。なぜ小紅書がこういったことをするかというと、ECが伸び悩み、アプリとしてEC強化ではなくコンテンツアプリとして成長していく路線を取っているからです。今後はますます物を売るためのSNSとして影響力を強めるのでしょうか。最近は動画アプリが小紅書の役割(口コミ、レビュー)を奪いつつあるので、巻き返しに期待です。

最新レポート、抖音で何が売れている?

引用元:<a href="https://mp.weixin.qq.com/s/j6-VlrTgMHvvtq2Vz6Outw">C2CC新传媒</a>

引用元:C2CC新传媒

第3四半期中、抖音(Douyin、中国版TikTok)のショートビデオで紹介されたメイクアップ製品の売れ筋を見てみましょう。価格帯は20〜40元(300〜600円)の範囲の価格の製品の数が19.6%に達し、200元(3000円)以上の価格の製品の数はわずか3.7%でした。一方でスキンケアは80〜100元から100〜200元の範囲の商品が比較的多く、約18%を占めています。

メイクアップカテゴリで最も売れたアイテムは口紅でした。トップ5は「COLORKEY」「完美日記」「卡姿兰」の製品で、最も高価なのは「卡姿兰」の「ミストキス ウォーターキスリップスティック」(119元)でした。

卡姿兰の「ミストキス ウォーターキスリップスティック」

卡姿兰の「ミストキス ウォーターキスリップスティック」

またショートビデオコンテンツのトップ10は、海外の大手美容ブランドが多くを占めています。特に「ランコム」のショートビデオのマーケティングプロモーションが非常に強力で、関連投稿数は7〜9月でナンバーワン。

「ランコム」は9月にトピックアクティビティ#是宠爱站台#をスタート。ユーザーに日常生活での“甘い瞬間”を共有するよう呼びかけ、10億回以上の視聴回数を記録。同時期に、ランコムはメイクアップファンデーション、オーロラウォーター、トップの人気製品「ジェニフィック アドバンスト」などの製品と組み合わせて、#持妆不假面、#抛光混油肌、#小黑瓶肤质改造纪など、さまざまなトピックを発表し、各トピックは4億回以上再生されました。

引用元:C2CC新传媒

若いイケメンの時代から変化…お姉さんアンバサダーが脚光

「完美日記」周迅

「完美日記」周迅

最近、「完美日記(Perfect Diary)」は周迅をブランド初のグローバルスポークスパーソンとして発表した。またその前に「花西子」は杜鹃がブランドアンバサダーに、「WIS」は李冰冰がフェイスマスクのアンバサダーに就任しました。この共通点はなんでしょうか?皆さん女性であり、そして30歳以上のお姉さんスターなんです。

これは美容業界は近年「Z世代の女性消費者を男性スターの魅力で引き寄せる」ことを重視してきましたが、さまざまな消費者を獲得するためのステップと言えます。化妆品观察が調べた国内ブランド20社の、最近発表した様々なアンバサダーの比率は女性スターが50%、30代の女性スターが25%を占めていたといいます。

また、このリストの女性スターは、80年代以降生まれの女優が40%、70年代以降生まれの女優が14%を占めています。これまでZ世代、ミレニアル世代の若いイケメン男性(中国ではそういった人のことを「小鮮肉」と呼びます)に偏っていたアンバサダーの比率は大きく変化しました。

左から「花西子」杜鹃、「完美日記」許佳琪(THE9)、「WIS」李冰冰

左から「花西子」杜鹃、「完美日記」許佳琪(THE9)、「WIS」李冰冰

コメント:

そもそも男性が広告起用されるようになったのは2013年頃の韓流ブームがきっかけ。K-POPアイドルの人気(韓国で活躍する中国人を含む)により、トラフィックと売り上げどちらにも貢献する存在としてスターの起用が確立していきます。そして2017年に政治的な影響で韓国関連品が制限を受けたことにより、一層国内のスターが注目されるようになりました。

「乘风破浪的姐姐们」

「乘风破浪的姐姐们」

また中国では「乘风破浪的姐姐们」という30歳以上のアイドルを選抜するオーディション番組が話題に。同時期に女性アイドルグループTHE9を輩出したオーディション番組「青春有你2」も大ヒットし、女性のかっこよさ、憧れとしての女性像が強く広まったのも背景的影響です。女性アンバサダーが多く起用され始めたのは本当にここ半年くらいの出来事。1年前の常識が通じないのは中国らしい変化の速さです。

注目のブランド:「PMPM」はスキンケアの新たなニーズを満たす

上海时垠电子商务有限公司が今年3月にローンチしたスキンケアブランド。9月にはTmallでの月間GMV(流通取引総額)は半年前から100倍となる、約1500万元(約2億2500万円)に達した。6月までにブラックアントキャピタルが主導するプレAラウンドの資金調達を完了し、最近は中国で注目される美容専門店「HARMEY」からも投資を受けた。このように急速に成長し、注目を受ける「PMPM」の魅力とはなんなのか。

理由1…中国消費者が求めるスキンケアを実現

創業者兼CEOは元「Olay」中国ブランドディレクター及びEC部門の責任者で、退職後に世界へ旅行に出かける。そのインスピレーションから「Pour(le)Monde、Pour(le)Monde(世界に行き、世界を探検する)」というブランド名を付け、世界の国々をテーマとした製品を発表。最初のシリーズのテーマはマダガスカルだった。

「PMPM」は(1)世界中の希少で効果的な天然成分と(3)中国で近年人気の化学成分を用い、(3)主要な国際OEMや製剤研究所と協力して開発・製造し、最先端技術を活用した製品作りを行う。この3点のどれもが中国消費者がスキンケアで注目するポイントであり、ブランドストーリーにも通ずるものだ。また製品サイクルも早く、3か月ごとに新シリーズが発売され、各シリーズは約6〜8SKUをそろえており、既に20SKU以上が並ぶ。

理由2…競争を避けて市場のニーズを満たす

また「PMPM」は当初、競争の激しいリキッドエッセンスなどのカテゴリーを避け、成長率が高いが市場は小規模のフェイシャルマスクとクレンジングバームを選択。この製品たちの成長と安定を経て、競争も激しいが高成長のエッセンス、乳液などを発売するに至った。

通常、アンチエイジングや敏感肌、季節の影響などのニーズが製品に反映されるものだが、「PMPM」は消費者のライフスタイルに注目。例えば若者世代はテイクアウトの食事が好きだが、それらは油っぽく砂糖も塩も多い。そのため肌のオイルバランスが崩れやすいことから、油性肌を対象とした製品を発売した。このように、需要が大きいが商品も飽和した市場ではなく、生活面からまだ満たされていない需要を探している。

理由3…スキンケアを視覚化して伝える

メイクアップ製品の人気が出やすいのは視覚的に捉えやすいものだからだ。一方、スキンケアは目で見てわかる良さは少ない。そこで消費者が理解しやすい色、形、質感(例えばクリームの柔らかく美しいさま)を訴求し、パッケージデザインにもこだわった。SNS映えするアンボクシング(Unboxing)用のボックスなども用意している。またビジュアルイメージにおいても原材料の押し出したビデオなどを制作した。

コメント:

あまりにも目撃する人気ブランドなので、まさか今年ローンチだとは知らなかった。。短期間にここまで急上昇するブランドは稀なので、今後より大きくなりそう。塗るフェイスマスクも今のムードにマッチしていて、タイミングも良かったと言えます。また飽和している市場でどう戦うかという視点は日本企業も見習わなければいけないポイントでしょう。

***

オープンチャット開いたもののなかなか送れず…ちょうど繁忙期に入ってしまいました。。レターで送れなかった内容はまたチャットに流そうと思います。

ご意見・ご感想、リクエストはこちらまたはLINEでお寄せください。

円換算レート:1ドル=105円、1人民元=15円|Writing : Anna Usui - supported by ‘the Letter’

経済紙などで執筆している美容業界ライターが中国の化粧品の最新ニュースから、世界の美容情報を独自の解説や考察をつけて、あなたのメールに無料でお届けします。

すでに登録済みの方は こちら

誰でも
今、中国のオフライン店舗に求められること
読者限定
2021年、中国美容業界で注目されそうなこと
読者限定
Weekly Global News|2020年ベストコスメ総まとめ
誰でも
China Beauty Headline|独身の日で注目の中国ブラン...
誰でも
Weekly Global News|即日配送、ビデオチャット…オンラ...
誰でも
China Beauty Headline|注目ブランド「Little...
誰でも
China Beauty Headline|中国ブランドが高級路線にシ...
読者限定
購読者限定チャットのお知らせ|Global Cosmetics News