Weekly Global News|即日配送、ビデオチャット…オンライン購入の新方式

ウーバーイーツの新サービス、伊勢丹のビデオチャット販売は何がすごい?、Qoo10メガ割と中国独身の日の共通点
臼井杏奈 2020.11.26
誰でも


お久しぶりです。今日は私が注目している即日配達サービスの海外の先行事例や、アマゾンの2020年美容カテゴリー販売ランキング、Qoo10メガ割考察など完全に私の趣味に寄った(でも大事な)内容です。

日本でも“ラストワンマイル配達”が来る? ウーバーイーツが新サービス

■「ウーバーイーツ」が「フランフラン」と提携  雑貨の宅配をスタート

雑貨の宅配を東京都内3店舗(青山店、新宿サザンテラス店、自由が丘店)で11月25日に開始する。食器や加湿器などの商品約30種類(700~7000円)を扱い、配送手数料は300~400円に設定。飲食を含まない小売り事業者としては日本で初めての試みとなる。


このニュースは雑貨なので化粧品は関連ありませんが、「ウーバーイーツ」が日本国内でのフード以外のデリバリーサービスの拡大を図っているということは注目すべき点です。海外では化粧品の即配達サービスが既に広がっており、多くはリアル店舗を“倉庫”とするピックアップ型デリバリー。ラストワンマイルサービスは日本でも広がるでしょうか。

・韓国

Image:Lalavla

Image:Lalavla

韓国最大のヘルス&ビューティストア・オリーブヤング(以下、オリヤン)は2018年末から自社ECまたはアプリからの注文で3時間以内に配達を行うサービスを展開している。オリヤンの強みは全国各地に大規模にリアル店舗を展開していることで、リアル店舗を倉庫として包装及び出荷を行う。8月時点で全国600店が発送店となっている。また同じくH&Bストアの「ララブラ(Lalavla)」は出前アプリの「ヨギヨ」と提携して、同様の店舗ピックアップ型の即配サービスを展開。さらに競合の「LOHB'S」も1時間配達サービスを開始した。ストアだけでなくアモーレパシフィック、ミシャ、LG生活健康など美容企業も続々と当日配送を開始している。(参照:中央日報

・中国

Image:InnisfreeのWeibo

Image:InnisfreeのWeibo

中国でも出前サービス・美団(Meituan)が美容とパーソナルケアの小売業者向け即配サービスを展開。3月にはセフォラ(Sephora)が北京・上海で店舗ピックアップを開始し、化粧品専門店のTHE COLORIST调色师、美容ブランドでは「ゲラン」「林清轩」などが美団と提携している。また美団の競合にあたる餓了麼(Ele.me)も同様のサービスを展開し、「イニスフリー」と提携している。(参照:界面新聞

関連記事:eleme(饿了么)がコスメブランドと提携、中国デリバリーの発展(チャイトピ!

・アメリカ

Image:<a href="https://fastaf.com/">FastAF</a>

Image:FastAF

ロサンゼルス、ニューヨークでは新アプリ「FastAF」が拡大している。「FastAF」はEコマース企業が当日配送を可能にする技術主導型のフルフィルメント・ソリューションを提供するDarkstoreの上に構築されたシステムだ。消費者はアプリを使用することで消耗品からアパレルまで、幅広いカテゴリーの商品を当日配送してもらえる。美容関連では「イソップ」「グロシエ(Glossier)」「フェンティスキン」「グープ」「サマーフライデー」などが参入している。(参照:WWDTechCrunch

コメント:個人的にはこういったサービスは日本で広まって欲しいけれど、難しい点も多いかなと思います。そもそもアマゾンの数時間以内配送のサービスもなくなってしまいましたし、コンビニが発達した国だからです。とはいえ、これまでのアマゾン等と違うのは配達人員が固定で必要ではないこと、とりあえず店舗側が体制を整えれば大きな初期投資も維持費もいらないこと。手数料次第ですかね。私の周りのひとたちは美容やパーソナルケアより、ヘルスケアや赤ちゃんグッズ系を欲していましたが…。

伊勢丹新宿本店でビデオ通話接客が本格スタート 将来的に「100万種類の商品を購入可能に」

三越伊勢丹は25日、スマートフォン用の自社アプリ「三越伊勢丹リモートショッピング」による、ビデオ通話のオンラインショッピングを伊勢丹新宿本店でスタートした。同店の婦人服、紳士服、ジュエリー・時計、化粧品カテゴリーの計14売り場・300ブランドで先行導入する。アプリの導入でオンライン接客の間口を一本化するとともに、接客で得た性別、年齢、購買趣向やライフスタイルなどの顧客情報をウェブ会員IDと結びつけて蓄積し、サービスの向上につなげる。

コメント:伊勢丹の仕組みの良いところは(1)情報の一括管理(2)検討中の商品は、同社EC「三越伊勢丹オンラインストア」のカートにスタッフが代理で登録(3)EC上に掲載のない商品も、売り場のスタッフがその場で商品を撮影・アップすることで将来的に(伊勢丹新宿店にある)100万種類の商品をオンラインで販売できること。

そもそも購入されるかどうか分からないものを先に登録する必要はなく、必要となれば現場が稼働する、まさに店舗の倉庫化です(ただその場合、採寸とか成分情報はどうするんだろう)。また、その時間内で必ずしも購入する必要はなかったり、買ったものをユーザー情報として蓄積できるOMO的な仕組みをつくったことで、ビデオ販売だけでなく消費者が伊勢丹のサービス全体をどう活用するのかも期待大。

関連記事:美容・ファッション界も“アフターデジタル”の時代に 知っておくべきOMOとは?(WWD JAPAN.com

【2020年振り返り】アマゾン美容・パーソナルケア製品トップ20

MarketDefenseが発表した、2020年のアマゾン美容およびパーソナルケア売り上げトップ20を見てみましょう。データによると、消費者の52%がアマゾンで商品検索をしており、特にコロナ禍では63%まで上昇したといいます。売れ行きにも新型コロナの影響が色濃く出ています。(ランキングは10位まで、続きはリンク先を参照)

1 レブロン「ワンステップヘアドライヤー」

2 エッセンスラッシュ「プリンセスマスカラ」

3 シックハイドロ「ダーマプランニングツール」

4 ニュートロジーナ「クレンジングワイプ+メイクアップリムーバー」

5 セラヴィ「モイスチャーライジングクリーム ボディ&フェイス」

6 マイティパッチ「オリジナルハイドロニキビパッチ」

7 ツリーハット「シアシュガースクラブ」

8 バーツビーズ「リップバームオリジナル」

9 ダヴ「フレッシュボディウォッシュ」

10 マリオバデスク「ドライングローション」

BeautyMatter

20位までを見てみると、多いのは「ニキビ治療」「ボディーケア(洗浄含む)」でした。ニキビはアメリカのみならず日本、中国などでもマスクの蒸れ・スレによる肌荒れの悩みから需要が伸びています。また新型コロナで体や手を洗うことが重視されたため、洗浄系のアイテムが多数ランクインしています。逆に一つも入らなかったのはカラーアイテム、特に口元。マスカラやコンシーラーは入りましたが、やはりスキンケアなどお手入れニーズが高かったようです。

関連記事:パンデミックはストレス誘発性脱毛を引き起こしている(Allure

ポイントはセール期間の分割 Qoo10メガ割とアリババ独身の日の共通項

Image:Qoo10

Image:Qoo10

現在、ECサイト・Qoo10で四半期に一度のセール「Qoo10メガ割」が開催されています。今回もセールを3期間に分け、1期間につき1ユーザー3枚のクーポン券が配られます。

【セール概要】クーポンは対象商品を20%オフにできるもので、3枚を使い果たしても次のセール期間になると再び新規3枚のクーポンを取得できる仕組み。1期間は3〜4日間ほどと短く、セール開始前から「Qoo10メガ割おすすめ商品」をYouTuberやインスタグラマー、ツイッターの美容アカウントが自発的に宣伝していました。これはPR投稿だけでなく、UGCも含まれます。消費者の情報収集ニーズが高いため、反応のいいコンテンツとしてインフルエンサー側も発信したい情報となっているためです。

…ここまでは以前のセール期間にもお話したことですが、今回見ていて感じたのは、直近で行われた中国の独身の日セールのアリババとの共通の盛り上がり方です。

アリババの独身の日は従来、11月11日のみが決済日(セール日)で、それまで半月ほどが予約期間。しかし今年は販売日が4日間に増え、1〜3日と11日、期間は2つでした。単純に日数が増えたことで企業側は購買機会、宣伝機会が増え、ユーザーは「どのタイミングで購入すれば一番お得か」と判断する必要が増えました。さらに一次セールで購入した商品の多くが二次セール(11日)前には配達され、セール前に再び購入品レビューが増加。そのレビューにより、再び購入意欲が高まる…という結果に。

期間前から期間中も、購入に関する情報が増えていく

期間前から期間中も、購入に関する情報が増えていく

Qoo10でも人気製品は早い段階で完売する可能性があったため、初日の夜中から購入するユーザーが多く、Qoo10は一時サーバーダウン。早い段階で購入した一部ユーザーには既に商品が届いており、ツイッターなどでレビューが増えています。Qoo10はアリババほど配送が早くありませんが、期間が長いことで同様の現象となりました。またクーポン券の配布枚数が決まっていることで、購入品を検討する情報収集ムードも高まりました。

現在楽天市場もセールをやっており、そちらも話題ではありますが、若者の化粧品消費者の中ではQoo10ほどの存在とはなっていません。どれだけ熱気を起こすことができるか、という点で、期間や枚数の制限を利用するのは、再現性ある良い方法のようです。

■その他・注目のニュース

Image:<a href="https://chaulskincare.kr/">CHAUL</a>

Image:CHAUL

・中国コスメ「完美日記」運営元がIPO、37歳創業者がビリオネアに(Forbes JAPAN

・バイヤスドルフが韓国で新しいフェイスケアブランドをローンチ(GlobalCosmeticsNews)ブランドサイトCHAUL

・アモーレパシフィックがメディアスタートアップDMILに30億ウォンを投資、インフルエンサーコンテンツとコマース領域で協力(AmorePacific

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しばらくお休みしてましたが、もう12月も目前ですね…。今回はアマゾンの話を書きましたが、こんな感じで年末までは2020年の動き・売れたもののまとめと2021年に向けての記事なんかもピックアップしていこうと思います。

ご意見・ご感想、リクエストはこちらまでお寄せください。

Writing : Anna Usui - supported by ‘the Letter’

経済紙などで執筆している美容業界ライターが中国の化粧品の最新ニュースから、世界の美容情報を独自の解説や考察をつけて、あなたのメールに無料でお届けします。

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