今、中国のオフライン店舗に求められること

撤退・閉店相次ぐ一方で大規模出店するブランドも…今拡大する店舗のスタイルとは?
臼井杏奈
2021.01.27
誰でも


昨年は新型コロナ禍で、改めてオフライン店の役割が見直される機会になりました。いち早く立ち直った中国では既に国内旅行も盛んになるなど外出は平常時程に戻っているといいますが、それでも昨年は閉店やオフラインから撤退するショップ・ブランドが目立ちました。今後はどのような店舗が求められ、どのような役割を果たしていくのでしょうか。

オフライン店舗の不振、撤退

資生堂美妆星品館
資生堂美妆星品館

中国の業界メディア「化粧品報」が昨年末に発表した「2020中国化粧品店競争力レポート」によると、昨年は非常に厳しい状況で、「衰退」が大きなキーワードだった。150店舗のうち68%の店舗でパフォーマンスが低下し、例年並みだったのは17%で、例年以上だったのはわずか15%。平均して業績は12.3%低下していた。

Watsons:2020年上半期のワトソンズチャイナの財務報告によると、業績は30%近く急落し、7月時点で北京の店舗数も6店減り、12店舗となった。

SaSa :香港を中心に出店するSaSaは4月には21店舗が休業に追い込まれた。2020年11月の財務報告では4月から9月にかけての売上高が前年比62.11%減で、2億500万元の損失だったと明かした。

資生堂:昨年4月、CSチャネル向けブランド「泊美(PURE&MILD)」のオフラインチャネルからの撤退を発表。また同月、資生堂が2018年にCSチャネル用に立ち上げたシステム「美妆星品館(スターストア)」の閉鎖を発表。店舗とECをつなぐO2Oプラットフォームで、消費者は大型の専用端末から店頭に並んでいない商品を注文できた。(詳細:BeautyTech.jp)資生堂チャイナは中国メディア「化妆品观察」に対し、商品が越境ECと重複しており、事業戦略を調整するためだと回答している。

Innisfree:昨年4月、中国で少なくとも90の赤字店舗を閉鎖すると発表した。一方でフードデリバリーサービスと提携し、店舗ピックアップによる商品デリバリーを行うなど新しい店舗の活用も行う。

活路を見出し、盛況なオフライン店

オフラインへの単独店の出店は増加しているが、そのシェアは反比例に低下している。美容専門店やブランド単独店は常に新しい方法を模索しており、中でも3線都市以下などのより小さい地方都市ではより専門的なサービスを打ち出す店舗が成長。大都市の店舗以上に支持されているのだという。今の中国にはどのような店舗があるのだろうか。

需要の高まるカテゴリーの専門店になる

HEATの小紅書から
HEATの小紅書から

ニッチブランドの集合店「H.E.A.T」

HEATは昨年誕生した化粧品専門店で、中国のトレンドブランドと海外のニッチブランドに重点を置く。中国のネットでは「李佳琦(化粧品ライブコマースのトップKOL)のライブ放送倉庫」や「小紅書(RED、中国のインスタグラムと言われる)のオフラインバージョン」と呼ばれており、トレンドに敏感な若者の心を捉えている。

12月にオープンした南京デジプラザ店はパスワードやトンネルなどの要素を散りばめ、「美容情報局」というテーマを表現した。商品購入ではなく、訪問する若者の好奇心に応えるものだ。テーマは店舗ごとに異なるという。またテスターの使用や24時間のオンラインサービス、BAによる商品レコメンドなど、フルタイムのユーザー体験サービスを提供している。(聚美丽

新型コロナ禍の需要を強化

■艾莎香水店

新型コロナ後の美容市場の新しいニーズを察知し、ひとつのカテゴリーの価値を深く掘り下げるショップオーナーもいる。由颖通集団(Yingtong Group)とiResearchが共同発行した「2020年中国香水業界研究白書」によると、世界の香水市場規模は約3906億元で、中国はそのうちの2.5%と小さい市場だった。しかし昨年はホームフレグランスを含む香水カテゴリーが急激に伸長しており、同調査によると回答者の50%以上が毎日香水を使用すると答えた。今後の可能性が大きいカテゴリーだ。

オフライン店にとって、オンラインで試せない「香り」は大きな来店促進要素。艾莎香水店は香水市場の成長を見て出店を決めたという。店舗にはラグジュアリーブランドの香水を揃えて地元客の需要を満たし、週2程度ライブコマースも実施している。(化妆品财经在线CBO

■MEEL

ショッピングモールに出店する中〜高級美容専門店で、ラインナップは輸入品を中心とし、SK-IIやLancome、Estee Lauder、Dior、Chanel、YSL、CPB、Sulwhasooなどの人気ブランドが店内に並ぶ。MEELは新店舗を増やしているが、これは新型コロナ禍でより強まった海外製品に対する消費者の需要を満たす意図があるという。(化妆品财经在线CBO

体験を重視したプロフェッショナルサービス

■理肤印象

「理肤印象」は都会の若者女性をメインターゲットに、独自のブランドイメージと製品でポジションを築き、2019年の1号店オープンから昨年末には300店舗まで拡大した。科学や医学の要素を取り込み、肌悩みを抱える女性たちに訴求している。

店舗は商品を売るだけでなく、サロンのようなトリートメントサービスや肌診断も提供する。クイックサービスを受け、肌状態を見てもらい購入できるのはオフラインの大きな利点だ。店舗の6割はサービスのためのスペースで、商品棚は4割に絞られる。商品販売よりもメンバーのサポートやアフターサービスに力を入れるのがこのブランドの特徴だ。

データの活用で最適化、店舗自体が「体験」に

KOL、<a href="https://weibo.com/u/1847538297">英俊的rosa</a>のWeiboから
KOL、英俊的rosaのWeiboから

■HAYDON黑洞

「HARMEY」のようにグローバルブランドやニッチな人気アイテムなど高品質の製品を、200ブランド以上、2000SKU以上集めた化粧品専門店。この商品選びはビッグデータ分析に依存しているという。「HAYDON」の店舗は「アート+科学技術+体験」をテーマに設計され、若者によってSNSで拡散されている。

関連記事:オフラインの出店が急増!中国でリアル店舗が見直される理由(China Cosmetic Lab

なぜ大規模なオフライン展開を進める?

深圳にオープンした200号店。<a href="https://weibo.com/u/6020329578">完美日記</a>のWeiboから
深圳にオープンした200号店。完美日記のWeiboから


このようにオフライン店舗は趣向を凝らし、新しい形を確立しようと模索している。しかし、オフライン全体が好調なわけではない中で、オフラインの出店攻勢を強めるブランドも多い。

例えば昨年、親会社の逸仙控股(Yatsen)が米国ニューヨーク市場でIPOを果たした「完美日記(Perfect Diary)」は、1号店の開店からわずか20ヶ月の昨年9月、200店舗目をオープンした。店舗の出店エリアは1〜5線都市を網羅しているという。

また新しい形態の化粧品専門店「HARMAY」「Noisy」「SN'SUKI」も台頭し、それに続くように急速に化粧品専門店チェーンが増えている。あるCSチャネルのエージェントは、「初期段階では十分な店舗を作り、最初に市場シェアを占めることが重要。なので損失を後回しにできるほどの資本を持っていれば、(損失は)気にしない」と語る。しかしこういった新しい形態の店舗がその営業状況を外部に開示することはめったになく、業界は実際の営業状況を理解することが困難になっている。

一方でこういったショップには投資家の目が集まっており、投資を受ける上でも店舗展開はわかりやすい指標になる。ブランドやショップが資金調達を受ければ受けるほど出店は加速していくと見られており、実態とずれていると指摘する声も上がり始めた。

■今回のレターの関連記事

・アメカジ目線の中国攻略法 「ファインクリークレザーズ」の場合(WWD JAPAN.com

・「ザラ」親会社、傘下3ブランドの中国内全店舗を閉店か オンラインは継続(WWD JAPAN.com

・中国・北京の商業施設、「コロナ後」の回復に遅れ(東洋経済オンライン

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中国に行けないため、現地記事のまとめになってしまいましたが…(いつもそうか)、店舗にしかできない体験や利便性が求められているという話でした。中国だから規模も大きく、内装も日本にはないような感じですが、求めていることは日本の消費者もそう大きく変わらないですよね。完全に転用するのは難しいけれど、日本の参考になることもありそうです。

今回はあまり外資ブランドの話ができませんでしたが、外資は外資でオフラインだけでなくラグジュアリーがどうやってオンラインに出ていくとか、出店絶対しないとか、色々販売チャネルに関する話があるので後日お送りします。

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また中国の話が多くなってしまっていますが、この国の情報知りたいとか、知りたいカテゴリーがあればマシュマロ投げていただけると嬉しいです。このサービスは匿名なのでご遠慮なく↓

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Writing : Anna Usui - Supported by ‘the Letter’

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