China Beauty Headline|注目ブランド「Little Ondine」急成長の4つの秘訣
【速報】中国独身の日 どのブランドの、何が売れた?
中国最大のセールイベント・独身の日(Double 11・双11)が11月11日に開始した。とは言っても今年は2段階開催で、10月24日の予約期間を含めると半月以上のセール期間がピークに達したということだ。2次予約の注文商品を11日に決済しする仕組みで、既に様々なデータが出ている。速報データで注目のものをいくつか紹介する。
・美容カテゴリーの販売データ
星图数据によると、22のECプラットフォームの取引数のうち約60%はTmall。最も売れたカテゴリーは家電で、パーソナルケアと化粧品は4位だった。
・売れたブランドリスト
(星图数据 11月11日0:00-19:00、中国美妆网)
特筆すべき点
・韓国の后(Whoo)はTmallで1590元(約2万3800円)のスキンケアセットを販売し、累計売上高が10億元(約150億円)に達した。また韓国の高級スキンケアではソルファス(昨年11位)が6位にジャンプアップした。両ブランドとも618でも好成績を収めており、W11にも生かされたのではないか。
・エスティローダーはTmallで最初に10億元(約150億円)に達した美容ブランドとなった。人気製品のアドバンスナイトリペア アイクリームは100万個以上を販売。セール開催前から入手困難ブランドとして名前が上がっていた。
・日本企業関連は4位・資生堂、8位・SK-II、19位・キュレル(花王傘下)
・客単価が上がりやすいスキンケアが中心のランキングだが、メイクアップでは完美日記(Perfect Diary)が好調。
・高級美容機器ARTISTIC&CO.が1次の時点で16億円超え
今年度のW11での売上目標金額は30億円で、11月1日に開催された第1回目セールで既に16億円を売り上げた。また11日には午前1〜3時まで、 岐阜県羽島市の日本本社と、 中国の北京と杭州、 上海の中国本土にある計4拠点とを同時に繋ぎ、 Tmallライブコマースを実施。 その後も中国の拠点では24時間ライブコマースを実施した。
→毎年売り上げ上位に名前が上がる美容機器メーカーで、今年は22万円の美顔器セットを販売。美顔器カテゴリーのトップ売上はヤーマンで、Tmallの輸入ブランドGMVランキングでも(11日朝時点で)トップ10に入っている。
関連記事:コロナ後のダブルイレブンはスタートから3700億元の大台へ(中国トレンドExpress)
関連記事:売り上げ5兆8000億円。中国「独身の日」セールに挑む日本企業の壮絶な舞台裏(Huffpost)
ビリビリが若者が好む「China-Z100」リストを公開
ニコニコ動画のような中国の動画アプリ・ビリビリ(Bilibili)は、月間アクティブユーザー数は1億7200万人で、中国の若者の2人に1人がユーザーという程の若者の大きな集い場に成長した。これまでアニメ、ゲーム、コミック(AGC)コンテンツの発信場所だったが、最近はカテゴリーの拡充が進み、消費者層が重なることから美容ブランドもマーケティングに活用している。そんなビリビリが10月末、中国のジェネレーションZ世代が好む国産品リスト「China Z 100」を発表。そのうち美容カテゴリーの製品を見ていく。
・阿道夫(Adolph)
マス向けのシャンプー、トリートメント。ブランドは2011年にスタートし、オフラインのCSチャネルから展開。業界トップレベルの研究開発で高い品質をかなえ、頭髪の健康を守る。中国の若者は男女問わず薄毛に悩む人が多いです。また若者には香りが好評。
・气味图书馆
「大白兔奶糖」という国民的ミルクキャンディ(ミルキーみたいな)とコラボした香水。そのユニークさから日本でも話題に。多くの若者にとって愛着のあるIPをうまく活用した。
・薇诺娜(Winona)
中国スキンケアブランドの中でも有名な存在で、敏感肌向け製品として特に若者からの支持が高い。中国の若者の多くが肌悩み(敏感肌、肌荒れ、ニキビ)を抱えているが、敏感肌向けのアイテムをメインとするブランドは多くはない。また品質の高さを訴求している(価格ではない)。
・Girlcult
2018年7月に設立し、可愛らしいメイクアップアイテムで一気に人気ブランドに駆け上がった。ユーザー層は18〜24歳で、「ロマンチック、レトロで、冒険的」な世界観を作っている。Girlcultは自社を“デザイン会社”と見なしており、製品の質や外見の華やかさはもちろん、体験までもをデザインしているという。このリストに入ったのはキャラクターアイテムだが、キャラクターのイラスト頼みではなく、ブランドの世界観とマッチするデザインに落とし込んでいる。最近はちびまる子ちゃんとのコラボも発売。
・Joocyee
一つ前の画像に入っている人気ブランド、橘朵(Judydoll)の姉妹ブランド。どちらもメイクアップ製品を展開し、「Jooycee(酵色)」はより落ち着いた雰囲気でありつつカラーを楽しむアイテムが揃う。
関連記事:中国化粧品企業は成長のネクストステップへ!姉妹ブランドが続々誕生(China Cosmetic Lab)
・PMPM
前回配信で紹介してます。
・小奥汀
次のトピックスで紹介します。
コメント:ビリビリだけでなく、どのプラットフォームでも話題となっているブランドで、かつSNSマーケティングに長けているところが並んでいます。また定番のブランドだけでなく、「PMPM」や「Little Ondine」などこの1年で急成長したブランドが並んでいて、売り上げランキングなどを見るより、今の若者の生態がわかる、買い物リストを覗き見したようなリストだなと思います。
注目ブランド:「Little Ondine」急成長の4つの秘訣
「Little Ondine小奥汀」は「完美日記」の親会社が買収したことでも話題となった、国内のメイクアップブランドです。2013年に設立され、最初の主力製品はネイルポリッシュでした。イギリスで開発され、アメリカでも販売した他、 日本でも粧美堂が展開し、プラザでも販売されていました(現在は販売していません)。このような世界に向いたブランドが中国国内展開を強化したのは2018年のこと。そこから当時流行り始めだった国産コスメ路線を強化しています。
現在の主力製品はアイライナーで、59.9元(約900円)という低価格が特徴。しかし安価であることだけがブランドの成功要因ではありません。ではなぜ急成長を果たしたのでしょう。4の理由から見ていきます。
■売れるための4つのポイント
Little Ondineは売れるために必要な、次の4つの要素をクリアしたと言われています。
製品力…購入を検討してもらうための前提条件
書き味は滑らかで、初心者でも扱いやすい。また縮れたりや毛先が分かれて線がもたつくこともない。耐水性が高く、長持ちで化粧崩れしにくい。速乾性のフィルムタイプであり、カラーバリエーションの豊かさも個性を表現したい若者向き。アイライナーに欲しい要素が実現されています。
种草…完美日記流でブランド印象を形成
Little Ondineは主に抖音(Douyin)で知名度を伸ばしました。ブランドは有名人とトップKOLの起用により大きな話題を生み出し、短期間のうちに人気に火をつけると、次により専門性のあるKOLを起用。ブランドの信頼を強化するとともに購入検討の材料となる評価や情報を発信、そしてこれらの拡散やKOC、一般ユーザーの注文及び口コミにより、人気ブランドとして認知されるようになったという流れでした。これらのステップのいくつかは同時並行で行われ、「誰もが使用している」というブランド印象を生み出したのです。
こういったマーケティング戦略は現在の親会社のメインブランド、完美日記と通ずるところが多く、小紅書など他のプラットフォームでも同様の動きをしています。また商品の質が高いだけではブランドは大量の商品の中で次第に埋もれていきます。そのため1〜2か月ごとに、新製品かコラボボックスを発売し、消費者の注意を引きつけ続けました。
アンバサダーも起用しました
見た目…リピート購入や周囲への推奨につながる
多くの化粧品とは異なり、白地に黒のパッケージを採用。三角形のボックスが拡大し、さまざまな種類のアイライナーの描き方を示しています。またその重量感も適切であり、外箱の内側では使用方法をイラストで紹介している(日本だとイガリシノブさんのWhomeeが同様の手法で展開してます)。
サブカテゴリー…需要を満たすカテゴリーの選び方
「2020年中国国産製品と美容の開発動向に関するレポート(2020年中国国货美妆发展趋势报告)」によると、2019年の化粧品のオンライン話題ボリュームトップ20の中で、アイライナーは前年比16.3%増と、アイブロウライナーに次ぐ人気でした。アイライナーはアイシャドウやファンデーションとは異なりサブカテゴリーと言われますが、しかしメイクアップには欠かせない存在です。これは前回紹介した「PMPM」が業界全体の売れ筋定番からスタートするのではなく、消費者生活からニーズを割り出し、比較的ニッチだけれど必要とされているサブカテゴリーからスタートしたのと同様です。
現在「Little Ondine」はアイライナーだけでなくチークやアイシャドウなど様々な製品が注目されています。しかしその先駆けとして最初にアイライナーを選択したこと、また成功法則に従って完ぺきな戦略を組み立てたことで、短期間での成長を可能にしたと言えます。
トムとジェリーコラボの商品です
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