China Beauty Headline|中国の新名所は「似てる場所」?

爆品解説・変色リップバーム、中国プレミアム化の新たな特徴、メイベリンが店舗を閉めるワケ
臼井杏奈 2020.10.13
誰でも

中国は8日まで国慶節の連休で、人々があちこちに移動し、買いまくり。今年は旧正月も新型コロナで丸潰れ状態だったのでその影響もあるでしょう。関連する化粧品や旅行データの紹介や、今回から勝手に新連載スタートしたりなどしてます。

連休の中国人はどこに行き何を買った?

Image:小紅書app

Image:小紅書app

中国のSNS、小紅書(RED)が「2020年国慶休日小紅書旅行同行レポート」を発表。これまでの自粛の反動もあり旅行者が多くなったと言われる今回の国慶節、小紅書でも旅行に関する投稿が前年同期比で156%増となりました。旅行者はどこに行き、どんなものにお金を出したのでしょうか?

■人気の目的地と人気スポットTOP5(左から順に1〜5位)

上海、長沙、広州、成都、杭州

上海ディズニーランド、長沙IFS、重慶洪崖洞、上海武康路、北京故宮

■人気の新スポットは?

旅の目的地としてドラマのロケ地も人気。長沙の「乘风破浪的姐姐」貴州の「陳情令」ロケ地などが話題になりました。

またコロナ禍の今らしい観光地として、世界各地に似せた場所が前年同期比3倍の投稿数に。例えば日本の鎌倉、韓国のチェジュ島など。

■売れた化粧品ブランド・商品は?

商務部のデータでは、10月1〜8日の全国の主要小売・ケータリング会社の売上高は約1.6兆元(前年比4.9%増)、銀泰百貨の1〜3日の客数は、前年比で90%まで回復、売上高は前年比約20%増だったといいます。また中国美粧網によると、取引量の多いブランドトップ10のうち海外ブランドが8つランクイン。上から順に「ランコム」「后(The History of Whoo)」「ロレアル パリ」「SK-II」「エスティローダー」と、単価が高く、スキンケアが主力のブランドが多く入りました。また人気商品TOP20では国産品が半数を占め、何度か紹介している「Geo Skincare」のフェイスマスクが2位に。

関連:【2020】中国の「売れ筋」解説・スキンケア編!価格帯から人気の機能まで(China Cosmetic Lab

コメント:618セールでは海外製品がよく売れたというTmall(天猫)のデータがありましたが、かなり海外旅行を恋しがっている様子。そのせいか、先日検索エンジン百度のホットランキングに日本の旅行解禁が来春(で検討中)というニュースが上昇していました。

渡航制限の中で海外製品を求める人に向けて越境ECでうまいこと出しているブランドや国(パビリオンの形で国や地域の特産品を販売)もありますが、日本の化粧品関連でうまくいっているのはマツモトキヨシや「マキアージュ」でしょうか。トラベルリテールやインバウンドが落ち込む中、海南島の免税店も注目ですが、W11での海外製品の動きにも注目です。

関連記事:国慶節の観光収入7兆円、ビッグデータが示す中国人旅行者のニューノーマル(Business Insider

中国の「プレミアム化」の新たな特徴とは?

「小仙炖」

「小仙炖」

使用、購入するもの全てで最高品質を求める、新しい“プレミアムライフスタイル”にますます焦点が当てられている。この現象は特に独身者のZ世代など若い消費者や働く母親など、可処分所得が高く、より高い生活水準を望む人たちによるものだ。

以前はプレミアム製品を購入すること=他人に見栄を張る意図があった。しかし今や、魅力的なものに身を包みたいという理由がすべてになっている。そのため“プレミアム”はトイレットペーパーのようなものですら含まれるのだ。また多くは一線都市*に住む住人で、最近人気が上昇しているツバメの巣の美容ドリンク「小仙炖」も、一線都市の女性消費者の間で人気がある。

一方でプレミアム製品は、下層都市での需要も増えると予想される。実際3〜5線の都市は、まもなく中国の消費の主な推進力となる。モルガン・スタンレーの調査によると、これらの下層都市と農村地域の総消費量は、2030年に8.4兆ドルに達すると予想されている。(元記事:Jing Daily

*一線都市、下層都市:都市の規模を表す言葉。詳細…「知っておくべき中国の基礎知識 1線都市とは何を指す?今注目の都市とは」(WWD JAPAN.com

コメント:中国ドラマ「三十而已」の中では、登場人物が「シャネル」のバッグを持っていたところ「エルメス」のバーキン35を持った奥様軍団にハブられるシーンがあり、今年大きな話題に(登場人物は、翌日にはバーキンをゲット笑)。詳細はこちら。そんな富裕層の見栄と意地の張り合いが薄れつつあるようです(しかし私が見ている小紅書やWeChatでは、未だにハイブランドの自慢が多いが…)。

プレミアム化が進めば、トイレットペーパーだけでなく品質の高い日本製品はより商機がありそうです。ただし、日本製品は品質のみを売るブランドが多いですが、中国の品質を爆速で上げているので、そのうち難しくなるかも。

「メイベリン」がデパートカウンターを閉じるワケ

上海のコンセプトストア Photo:<a href="https://www.xiaohongshu.com/user/profile/59a11a3e50c4b41d302b30ff?xhsshare=CopyLink&appuid=5c06575900000000060095e5&apptime=1602538309">削梨Sherry</a>

上海のコンセプトストア Photo:削梨Sherry

「メイベリン」はデパートカウンターから撤退しつつあるという。6月には上海から撤退し、1月には北京、長春、ハルビンのカウンターも閉めた。これは新型コロナに関係したものではなく、販売代理店によって運営されていたカウンターから直営モデルに転換することで供給効率を高める目的だ。現在、上海にはワトソンズも含め、オフラインで購入できる先は8店舗のみだ。

ロレアルチャイナは「消費者の需要に応え、ハイストリートブランドとしてのイメージを強化するために、メイベリンはオフラインチャネルを戦略的に調整し、以前のデパートのカウンターチャネルからオンラインおよびオフラインの体験型ストアに移行することを決定した」とコメントしているという。デパートやスーパーから撤退し、ショッピングモールや商業地区の単独店として再出発する計画だ。(榜样的力量

コメント:「メイベリン」は今年、上海の武康路にコンセプトストアをオープン。ライブ配信ブースやデジタル・ソーシャルエリアを設けて体験を重視した空間を作るなど、今後の指標となりそうな店舗でした(画像)。中国では「完美日記」の単独店やコンセプト型のコスメショップなど、オフラインの使い方が見直されており、「メイベリン」も同じ路線を辿っているようです。

関連記事:オフラインの出店が急増!中国でリアル店舗が見直される理由(China Cosmetic Lab

淘宝特価版「1元(15円)セール」の狙い

Image:<a href="https://weibo.com/u/6510892445">Weibo</a>

Image:Weibo

10月10日は拼多多(Pinduoduo)のアニバーサリーイベントデーだが、アリババの淘宝特価版もこの日から淘宝のセール「1元更香節」をスタートさせた。セールでは日用品から化粧品、生鮮食品、衣料品、デジタル家電など幅広いカテゴリーをカバーする。

淘宝特価版は卸値で購入できる工場直送モデルのECサイトで、3月26日に正式ローンチした。アリババによると1日での新規ユーザーは100万人を超えている。

淘宝特価版のローンチは地方で急拡大する拼多多(共同購入アプリ)に対抗する意図がある。1元のセールは拼多多の低価格に対抗し、より多くのユーザーを獲得するため「価格より高い価値がある」ことを周知する狙いで、拼多多と対抗するこの日から始められた。今後も毎年10月10日はこのセールを行うという。

関連記事:中国第2位のEC「拼多多」に対抗して生まれた「淘宝特価版」と地方のコスメ需要(China Cosmetic Lab

コメント:多くのカテゴリー製品が販売されていますが、化粧品は種類が少なそうでした。拼多多でも日用品や衣類を購入する人が多いので、同じような物が並び、売れそうです。

淘宝特価版だけでなく、京東は「京喜」アリババは「聚劃算(Juhuasuan)」と共同購入ECにも力を入れて拼多多に対抗しています。それだけ地方ユーザーは獲得したい存在なのです。

【爆品解説】HomeFacialPro「変色唇膏」

中国は真面目ネタが多くなりがちなので、ちょこっと毎回、化粧品のことも書こうかと思い連載(?)です。「爆品」とは“爆売れ”のような意味合いで、人気商品を指す言葉です。今回の爆品は中国のスキンケアブランド「HomeFacialPro(以下HFP)」のカラーチェンジリップバーム。「hfp变色小银管」とも呼ばれます。

この商品は真っ黒なスティック状ですが、塗布すると体温に反応してピンク色に。リップバームにしては高めの129元(1900円)ですが、薄桃色の唇が可愛いと人気です(中国は赤リップのイメージが強いですが、強め女子だけではないですし、毎日バッチリメイクするのは大都市の一部の女の子だけです)。

また「HFP」は若者向けの安価なスキンケアがメイン商品で、人気商品のアンプルは話題/人気の美容成分を原液で販売しています。例えば「ペプチド原液エッセンス」(画像)など。そういったスキンケアブランドのイメージから、リップバームも保湿力に優れていると評価されています。

その他の売れ筋商品:【2020】中国の「売れ筋」解説・コスメ編(China Cosmetic Lab

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円換算レート:1ドル=105円、1人民元=15円

Writing : Anna Usui - supported by ‘the Letter’

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