China Beauty Headline|独身の日セールがスタート、今年の注目は?
ついにW11(独身の日)セールが始まりました。今年の特徴が既に出ているので、始まって早々ですが紹介します。また後半には爆品解説と、SNSトレンドも書いたので、最後までスクロールしてみてください。
W11(独身の日)がスタート!今年の注目は?
11月11日をメインイベントとする、中国の一大セール「独身の日(Double 11、以下W11)」今日、21日0時に始まりました。一年の集大成とも言えるイベントですが、今年のW11で注目すべきこととは?
1:販売期間が二段階になる
Image:小紅書
今年は例年より期間が長く、今日21日〜11月3日までが第一期間、4〜11日が第二期間と、販売期間が2つに分かれます。第一期間は21〜31日が予約期間(プレセール)で、11月1日から3日間が購入期間に当たります。また第二期間も4〜10日は予約期間です。この期間延長はブランドにより多くの露出と消費者接点を増やすためだといいます。
(毎年のことですが)消費者は予約開始日に必死です。なぜならブランドの製品によっては、ECの旗艦店だけでなくライブコマース等さまざまなチャネルがあり、人気製品の販売個数に限りがある場合があるから。
また、21日中に一定金額以上を予約すると特典が受け取れるという仕掛けもあります。例えば「エスティ ローダー」は600元以上の予約で190元相当のコラーゲンクリーム(15mL)などの特典を用意しています。
2:ライブコマースが大きな戦場となる
2大ライバーの李佳琦(Austin)と薇娅(Viya)は比較対象に
年々ライブコマースの重要度が上がっていますが、今年はコロナ禍が後押しし、新たな試みが増えました。例えば社長がライブコマースに出演したり、百貨店が配信を始めたり。プレーヤーが増え、競争力も一段上がったライブコマースには化粧品会社も注力しており、どのようなお得なプロモーションが行われるか期待がかかります。
3:新ブランド・新製品のお披露目の場となる
Tmall旗艦店から。「HUDA BEAUTY」(左)と「Tatcha」
Tmall Global(天猫国際)のGMは今年、3つの新戦略を開始すると語っています。これは今年のW11で海外ブランドが成長するのを支援するため、新カテゴリーの育成・新ブランドの導入・新商品発売を支援するというもの。W11はお得な商戦であることが注目されがちですが、多くの消費者がプラットフォームに集まる機会でもあり、絶好のお披露目の場でもあります。
例えば今年の下半期にTmallに入店した「ヤクルト化粧品」「Too Faced」「HUDA BEAUTY」「Tatcha」などにとっては、これが最初のビッグイベント。今年初めてW11を迎える海外ブランドは2600ブランドにも上ります。また今回登場する新商品はTmallだけで(淘宝などを含めず)200万アイテムにも上ります。
今年は特に新型コロナの影響で海外旅行ができず、海外製品の需要が増しています。618でも「マツモトキヨシ」などインバウンド需要が高かったショップに人気が集まりました。
4:より「独身の日攻略」がホットになった
小紅書から。右のリストはTmall、ライブコマース2人を比較!
上記からも分かるように、よりお得に購入するためには、高度な情報収集・比較検討スキルが求められます。これまでも複数チャネルの複数プラットフォームを吟味し、クーポン券をチェック…と注意店が多かったのに、今年は期間が二段階に分かれ、ライブコマースが昨年以上の盛り上がり、より複雑です。
セール前からSNSでは「攻略」投稿が行われます。おすすめ商品の紹介だけでなく、どうすれば一番お得な買い方ができるか、どこのライブコマースで商品が出るか、などなど、比較検討によりセールを「攻略」するための情報です。攻略投稿は元から人気でしたが、今年はより比較投稿の人気が出そうな予感(しかし、投稿の難易度も上がった)。
コメント:21日0時代の時点で、Weiboのホットワードには李佳琦、薇娅のライブコマースがランクイン!また「ラ メール」のライブも話題になりました(どうやら歌手がライブをした様子)。その場で売れるかは別としても、これだけの話題となればやはり広告効果は絶大です。
中国のトップ化粧品ブランドから学ぶべきこと
中国のファッション・化粧品業界情報を伝えるJing Dailyが主催したウェビナーの要約が公開されました。「完美日記」のようなユニコーンも生まれた中国の美容業界から学べるポイントとは?
1:消費者志向で機敏
Image:Weibo 可愛い見た目で有名な「花西子」もユーザーインタビューの鬼
「C-Beautyはなぜ中国の消費者とうまくつながっているか」という質問に対し、Half A WorldのディレクターYishu Wang氏は、中国ブランドは非常に消費者志向であり、視聴者志向であると指摘した。ブランドや販売者は製品開発とマーケティング戦略の両方で顧客のニーズを重視して順応しており、その動きも機敏だという。その理由として、多くのブランドが中小企業であるために迅速に行動することが可能になったこと、中国はほとんどの国際市場よりも遅れて美容市場が拡大したため、さまざまな消費者のニーズに合わせて製品を調整できることを挙げた。
2:美容業界の主な推進力:創造性とヒーロー製品
中国の消費者が中国の美容ブランドに最も望むものとは?
Out of Office Beautyの共同創設者であるLinzi Zhanは、2つの重要な傾向を指摘した。1つは美容カテゴリ間の境界が曖昧になっていること。例えば「Lush」のヒーロー製品であるバブルバーは中国では受けなかったが、中国ブランドが発売したシャンプー兼ボディーフレグランスというユニークなアイテムは、中国市場で話題になった。そういった創造性がカテゴリーの曖昧さによって高まっている。
また2つ目に、将来的にはブランド名をあまり気にしなくなるだろうということを指摘した。Tmallや小紅書(RED)のような小売プラットフォームには「口コミ人気製品」があり、その際に消費者はブランドの知名度よりも、製品自体(その機能、見通し、価格)に関心を持っている。
3:歴史と創造性:両方の長所
Image:小紅書(ID:156129881)手ごろな代替品を紹介
ブランドやブランディングに関して、資生堂の中国ビジネスイノベーション&開発担当シニアバイスプレジデント、キャロル・チョウは以下のように語った。
オンライン時代にZ世代やミレニアル世代が美容消費のメイン層となっているが、この若い消費者のグループは知識が豊富で、美容ブランドや製品を“研究”したいと考えている。そのため、欧米の製品と同じ成分が配合され、遥かに安く、新しいC-Beauty製品を試すことに抵抗がない。ブランディングが重要でないわけではないが、変化の早い中国市場の中で、一つのブランドがどうブランディングされているか詳細に知ることは困難になっている。
しかし長期的には、中国の消費者が歴史あるブランドの価値を理解するだろうという。また中国ブランドは現在安価なものがメインだが、高級なブランドが数年以内に登場すると予測している(※臼井注:もう出てきてます)
記事:Jing Daily
コメント:めちゃくちゃまとまっているので、今後の参考資料として保存版にしたい。1の消費者思考で機敏だということについて、中小企業だからという理由がありますが、中国では大企業でも他国と比較すればかなりのスピードで消費者のニーズをすくって商品化しています。他国がそこに追いつく、追い越すためにはアリババのビッグデータを使うとかそういう方法になりそうです。
(参考:TMIC・資生堂の事例、アモーレパシフィックの事例)
TOPICS|抖音・小紅書で「中日韓メイク」比較動画がトレンドに
右は小紅書でもトップの人気を誇る韓国人メイクアップアーティストのPony Park
ツイッターでも少し話題になっていましたが、中国・日本・韓国のメイクアップの特徴を比較する動画が若者のトレンドになっています。中国はキリッと赤リップに白いマット肌、日本は可愛らしいコーラルカラー、韓国は眉や目は大人っぽくありつつもピンクやオレンジなどを使ったメイク…が大体のパターンです。
ここまで多くの人に共通の「中国メイク」のイメージ確立が出来ているというのは、中国でメイクアップがスタンダードになった証拠だなぁと感じます。中国でメイクアップをする女性が増えたのは、この10年ほど(いや、5年くらい?)のことだそうです。更に特徴的なのは、メンズメイク比較の投稿も多いこと!
【爆品解説】VNK「小方糖口紅」
Photo:Tmall旗艦店
2009年設立に、世界のトレンドをキャッチしたカラーメイクブランドとして生まれた「稚优泉(CHOITURE)」は、その手頃な価格や可愛らしい商品から、学生など若者を中心に人気を集めています。その「稚优泉」が2016年に立ち上げたのが、よりメイクアップ要素を強めたカラーコスメブランド「VNK」です。
「VNK」も手頃な価格帯で、このリップスティックは79元(約1190円)です。しかし低価格な商品であればいくらでもある中、なぜここまで人気になったのでしょうか?
①動画メディアのKOLによる推薦
配信でリップを紹介する李佳琦(左)とビリビリ動画の投稿
2017年頃からビリビリ動画を中心に人気が広まり、KOLらが多くのレビューを行ってきました。ビリビリ動画はニコニコ生放送のような動画アプリで、視聴者のコメントが動画にフローしていきます。そのため単なる動画発信だけでなくコミュニティ要素を持ち、最近はビリビリ動画の影響力に目をつけた資生堂やディオールもアカウントを開設し、新製品発表などを行っています。
「VNK」は更なる成長にライブコマースの影響力を利用します。短時間動画の配信やライブコマースを行うアプリ・快手のデータでは、調査を行ったユーザーの89%が、ライブ配信で推奨されている化粧品を購入する意思があったといいます。
そのライブコマースでもトップの人気を誇り、“口紅王子”の呼び名で知られるKOL・李佳琦(Austin)が「VNK」を定期的に紹介し、その度に商品を褒めています。彼は正直なので、気に入らないものは「エルメス」のリップでも褒めません。そんな彼の“お墨付き”とあり、さらにブランド自体の人気と信頼度が高まりました。
②コストパフォーマンスを重視する消費者層
Image:小紅書 右は人気色の「05」
「VNK」のリップはしばしば、ハイブランドのコスメと比べられます。なぜならトレンドカラーがハイブランドより遥かに安く、それでいて高い質で購入できるからです。より安く、より良いものを求める消費者層は、特に地方都市に多く住んでいます。中国の美容業界メディア聚划算が発表した「3線都市以下のメイクアップ消費動向レポート」によると、3線都市以下(沈下市場)では、国産の手頃な化粧品の普及率が90%を超えているといいます。また口紅の売上高は2年連続で前年比60%超で成長しています。
関連記事:知っておくべき中国の基礎知識 1線都市とは何を指す?今注目の都市とは(WWD JAPAN.com)
金曜日には初めて購読者限定のレターを配信しましたが、もう読んでいただきましたか?けっこう好評だったのでとてもテンションが上がり、次のレターを練っています。次は小紅書のトレンドについて書こうか、クリーンビューティについて書こうか…。
今回のレターでも何度も登場した小紅書などのSNSですが、このレターではかなり流して紹介しています。あとECサイトについても、Tmallとかあまり詳細を書けていません(すみません…)
けれど実際どんなもんかよくわかっていない、知識はあるけど実際使ったことはない、という方がいたら、このセミナーがおすすめです!(私がしゃべるのですが…笑)。基礎知識から消費者目線の使い方、トレンドまで語ろうと思っています!質問もなんでもOKです、なんなら事前に送って欲しい…。
10月29日(木)18:00-21:30 / 登壇者:兵頭和(ツイッターのビントウさん)、うすい/配信:ZOOM(アーカイブ付き)/主催:主催:China Cosmetic Lab/一般社団法人日本美粧協会
・・詳細とチケット購入:https://chinacosmeticlab202001029.peatix.com
ここで勉強しておけば、このレターを読まなくても自力で情報収集できたり、企画考えたりできるようになるはず!
では!
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円換算レート:1ドル=105円、1人民元=15円|Writing : Anna Usui - supported by ‘the Letter’
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