Weekly Global News|香水広告の炎上はなぜ起こったか
今週は週1配信なので、ニュースが盛り沢山になってしまいました。個人的に気になったニュースが中心ですが、ポーラ化成工業と中国製薬会社のタッグや、セフォラの即日配送あたりは今後がとても楽しみなニュースです。
クレンジングバームが人気の「デュオ」を展開するプレミアアンチエイジング、10月に東証マザーズ上場へ
上場予定日は10月28日。主力ブランドのデュオは2010年2月にデビューし、今年4月時点でシリーズ累計販売個数は1500万個を突破。2017年7月には資本金1500万円を増資。昨年4月にデュオの姉妹ブランドとして「カナデル(CANADEL)」を立ち上げており、10月からはマッシュビューティーラボと共同開発したオーガニックエイジングケアブランド「イミュノ(immuno)」を展開する。
ポーラ化成工業と中国・雲南白薬がアジア向け成分開発
中国を代表する製薬メーカー雲南白薬はオンラインレセプションデーで、ポーラ化成工業と開発協力を行うことを発表した。同社は薬用植物研究(漢方)の知見を持っており、ポーラ化成工業が持つ東アジア人特有の肌の特徴や国際的な製品開発技術、機能性成分処方により、より適切で健康的な肌を導くスキンケア成分の開発を行うという。
コメント:雲南白薬は薬だけでなくスキンケアブランド「采之汲(さいのくみ)」を有しており、“本物の和漢コスメ”として日本でも販売しています。
「ジョー マローン ロンドン」の広告が欧米・中国で問題に
「スターウォーズ/フォースの覚醒」のフィン役などで知られる英俳優ジョン・ボイエガが、香水ブランド「ジョー マローン ロンドン」のアンバサダーを辞任した。彼は同ブランド初の男性アンバサダーだった。発端となったのは、ボイエガが自ら考案、監督、出演した広告が、彼の知らないうちに中国市場向けに中国でアンバサダーを務める俳優・劉昊然で撮影し直されたこと。ボイエガの故郷で友人や家族と過ごす時間を描くコンセプトだった。
コメント:この広告は既に中国で削除されています。中国では盗作に対しての批判と劉が悪影響を受けたと怒るファンによって問題視され、欧米では個人的な権利の侵害と人種差別問題で批判を受けています。
消費者の反応からもわかるように、価値観の違いはこの問題の大きな要素です。欧米では人種差別がセンシティブな問題ですが、中国ではそれ以上に盗作や、問題視される広告に起用された俳優のファンが怒っていることが大きな問題。この撮り直しに人種差別的な意味合いはなく、ローカルのアンバサダーを使いたいというだけだったようです。ローカルに権限を与えずに中国で成功するのも難しい話なので、こういったすり合わせをきっちりと行う必要性について、多くのブランドの教訓となりそう。
最新のカスタムスキンケアD2C:Pure Culture Beauty
D2Cカスタマイズスキンケアブランド「Pure Culture Beauty」が9月15日にアメリカでローンチされた。このブランドはオンラインでのアンケート記入、皮膚の常在菌、油分と皮脂レベルをチェックするpHバランステスト、さらに200ドルのオプションで行う研究場での微生物テストに基づき、カスタマイズされたスキンケア製品を提供する。アンケートと皮膚分析テストを行って作るクレンザー、セラム、ローションのスターターキットは150ドル。共同創業者兼CEOのヴィクター・カザーレは元「M・A・C」のチーフ研究者で、ジョイ・チェンはスキンケア「H2O+」などを経ている。主にミレニアル世代からの関心を期待しており、対象年齢層は28〜40歳。ブランドはこの年齢層は肌質や生活の変化によって、使用してきたものがどんどん機能しなくなっている可能性が高いと考えているという。
コメント:アンケートでは食事、環境、睡眠サイクル、および皮膚に影響を与えるその他のライフスタイルの状況について答えるそう。自分に合ったスキンケアを探す手間が省けて、これだけ調べられるなら安いような気もしますが、続くのか?
セフォラが即日配送をスタート、インスタカートに参入
セフォラは即日配送について、インスタカート(Instacart)と契約を結んだ。既にカリフォルニアとカナダのセフォラの一部店舗が配送サービスを利用開始し、今後数週間で400店舗以上が追加される。セフォラによると、300を超えるブランドがインスタカートに並ぶという。35ドルを超える当日注文の場合は3.99ドルを配達料として加算し、1時間配達やクラブ店配達もあり、それぞれ配送料が異なる。また消費者が製品を予約して店頭で受け取るサービス(Reserve Online Pick Up In Store)も発表した。
コメント:コロナ禍で加速したところもありますが、オンラインの拡大にあたっては配送時間の短縮が大きな課題です。日本だと結構そこが後回しだなと思います。韓国ではララブラやオリーブヤングといったドラッグストアも配送をやっていますし、中国では色々な方法で即日配送が行われていますが、最近だとイニスフリーが中国のウーバーイーツ的なサービスと組んで、店頭ピックアップ型の配送を開始していました。
OMOアプリ「フェイシー」のスタイラーが中国のテンセントと協業
タイラーはテンセントクラウドの技術を活用。ブランドや販売員によるライブ配信・ライブコマースのほか、店舗が閉店時でも営業を継続できる仕組みを提供する。また、商業施設に入ったときにスマホで館内マップなどを見られるロケーションサービスや、消費者が買い周りを避けて効率的に買い物できるようなサービスなども届ける。小関翼スタイラー代表取締役CEO「主に小売業や商業施設の開発に焦点を当てたことを発表したが、実はほかにも沢山ある。ECサイトのメッセージ機能、AIを使った画像の予測サービスの導入から、在庫管理などのバックエンドのサポートまでも可能だ」
ちょっと気になる新ブランド/新製品ニュース
・島崎遥香が手掛けるコスメブランド「ミラー」が誕生
価格は1本1900円で、数量限定販売。マットリップ3本とドライフラワーをセットにした限定パッケージ(5700円/いずれも税別)を用意し、島崎のファンクラブ会員限定で直筆メッセージカード入りのセットも展開する。クリエイティブディレクターの島崎は「画一的な自分らしさや女性らしさ、可愛さの押し付けをしないブランドにしたい」と話す。
→ファン向けなのかなという印象ですが、島崎さんのファンは女性が特別多いわけではないので、どの規模で展開するのか、単発になるのか気になります。どんどんマイクロインフルエンサーが化粧品作る流れが加速している印象です。
・ファンケルが2年半ぶり新ブランド コンビニ向け自然派スキンケア
ファンケルは新スキンケアブランド「MOGU(モグ)」を9月26日に発売する。販路は全国のローソン店舗が中心で、10月1日から東京・原宿のアットコスメトーキョーとECの「アットコスメショッピング」でも取り扱う。製品ラインアップはクレンジング、洗顔料、化粧水、オールインワンジェル、トーンアップクリームの5品で、価格は各900円。フルーツなど自然素材の成分を配合し、ナチュラル志向の20~30代に向けて訴求する。
→コンビニの化粧品棚はもっと頑張れるから頑張って(語彙力)と言い続けていたのですが、だんだん専用コスメが増えてきている印象。しかし大きなサイズは買いにくいので、できれば既存ブランドの小分けサイズが欲しいと私は思ってしまうのですが…。
・「ナーズ」からブランド初の美容液が登場 開発に3年以上を費やす
「ナーズ スキン ライトリフレクティングファーミングセラム」(30mL、9000円)。ゴールドペプチドとつばき花エキスを配合し、きめ細やかなハリと弾力を肌に与える。
→コロナ以前から世界的に美容界でスキンケア思考が高まっていたので、メイクアップブランドがスキンケアを出すことは当然の流れのように思います。特にNARSは中国でも人気ですし、スキンケアニーズの高い中国も意識しているのでは?
・「シュウ ウエムラ」の2020年のホリデーは人気漫画「ワンピース」とコラボ
Photo from prtimes
→毎年メガヒットが続いていた「シュウ ウエムラ」のホリデーコレクション(コラボ)ですが、急な路線変更に賛否両論。直球で「ダサい」と書かれたツイートがバズっていました…。つまりはアニメ漫画だからダメなのかというとそうではなく、この作品そのままのあまり捻りのないデザインは、「シュウ ウエムラ」でもないし、作品のファンも特に喜ばない形なんだと思います。
中国ではコラボが盛んなのですが、その成功事例を上げる際に「1+1 > 2」という表現をします。つまりコラボは単に足して2になるのではなく、1つ1つの良さが交わることでシナジーを生み、2以上の効果・反響を呼ぶためにするもの。ブランドとマッチしない相手と組んだり、単にその人気に乗っかるだけではダメということです。
TOPICS|SNSでこれバズった:KATE「東京ヲトギバナシ」
12月1日、日本の昔話に着想を得たメイクアイテムが登場する。「狐の嫁入り」「鶴の恩返し」「かぐや姫」を再解釈し、各ストーリーに合わせた“強く美しいヒロインメイク”を提案する。
見た瞬間から絶対バズるだろうなぁと思ったのですが、公式ツイッター、メディアツイートなどが引用リツイート祭りでした。元々「KATE」は強く美しい女性像があり(中島美嘉、黒木メイサら歴代イメージモデルが受け継いできたクールな印象)そこに独自のストーリー性を持たせ、“強く美しいヒロイン”というコンセプトを作るという、非の打ち所のないコレクション。アイテムの可愛さもあるんですが、これは完全にコンセプト勝ち(もはや解説する意味ある?というくらいですが)。前評判で人気が高いのは、ミステリアスな雰囲気の「鶴の恩返し」。
ご意見ご感想・リクエスト等々は、こちらまでお送りください。
Writing : Anna Usui - supported by ‘the Letter’
すでに登録済みの方は こちら