Weekly Global News|ECのパーソナライズ成功事例

国内大手が導入したデジタルサービス、これSNSでバズった「LANEIGE ネオクッション」、英米で高級オンラインコンシェルジュが成長
臼井杏奈 2020.09.18
誰でも

今日もまたデジタルの話多めになっちゃいました。個人的には高級オンラインコンシェルジュが気になっています。まさにOMO? SNSバズりものは、別グループの3人から「あれって本当にいいの?」と聞かれた、まさに話題のアイテムです。

NEWS|国内大手がデジタル活用 肌診断やネイルAR

Image : One Skin Check

Image : One Skin Check

コーセーの「ONE BY KOSÉ」はデジタル肌診断サービス「One Skin Checkを導入した。パーフェクトのARメイクアプリ「Youcam メイク」のAI肌チェック機能のブラウザ向けモジュールを活用したもので、スマートフォンの撮影顔写真を分析し、シミ、しわ、キメの3点から肌年齢と肌バランスを知るツール。

また同社のネイルブランド「ネイルホリック(NAIL HOLIC)」は全色をバーチャル試着できるARアプリ「NAIL  HOLICアプリ」を16日にローンチ。手軽にネイルカラーを試せる他、試着カラーをオンラインストアで購入したり、気に入ったカラーのストック機能も設けた。またAI学習機能で爪の認識力を高め、使うほどに精度が向上するという。

Images : <a href="https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000135.000041232.html">prtimes</a>

Images : prtimes

カネボウ化粧品の「コフレドール」はスマートフォンの撮影顔写真を用いたメイクアイテムのカウンセリングサービス「コフミチェッカー(COFFmi CHECKER)」を17日にスタート。LINEのコフミアカウントを友達追加後、顔写真のアップロードとアンケート回答をすることで肌の水分や油分、シミ、キメ、顔の特徴を分析。診断結果を基に最適なメイクアイテムとカラーを約7000通りの中から提案する。診断には「YouCam メイク」の機能「AI フェイス アトリビュート」を使用した。また「コフレドール」の製品にカメラをかざして試せるデジタルテスター機能も備える。10月以降は店頭の美容部員によるカウンセリングでも「コフミチェッカー」が用いられる。

Images : <a href="https://www.value-press.com/pressrelease/253405">ValuePres</a>s

Images : ValuePress

コメント:デジタル診断機能やバーチャルトライは、これまで“必要だけど急務じゃない”存在でしたが、カネボウ化粧品の清原麻紀子コフレドール ブランドマネジャーが「デジタル上で満足度の高いカウンセリングサービスやテスター機能を充実させていくことはブランドとして急務」と仰るように、各社優先順位を上げています。

以前「Youcam メイク」に取材(詳細はこちら)をした際には、コロナ禍で店が開けられない、お客が来ない、タッチアップできない中で一気に新規問い合わせが増えたとのことでした。今後も同社のモジュールの活用は増えそうですが、LINEで展開し、美容部員の活用ツールにもしたカネボウ化粧品の事例は特に注目です。

TOPICS|高級オンラインコンシェルジュに注目

Photo : <a href="https://www.harperconcierge.com/">Harper concierge</a>

Photo : Harper concierge

ニューヨークのトシ(Toshi)、ロンドンのハーパーコンシェルジュ(Harper Concierge)といった高級コンシェルジュサービスが好調だ。ハーパーコンシェルジュの創設者であるリアムヤング氏によると、需要は過去6か月間で前月比20%増加したという。既に「アナ・スイ(ANNA SUI)」「アーデム(Erdem)」「ロクサンダ(Roksanda)」などのブランドがこれらのサービスを活用している。

消費者はブランドサイトまたは電話を介して、専門のコンシェルジュサポートとサービスを選べる。トシは迅速な配達サービスを提供しており、アシスタントは様々なサイズの商品を手にユーザーの玄関先に出向き、試着だけでなくアドバイスもするという。

トシは2016年のNet-a-Porter設立チームに所属した経験を持ち、他のスタートアップにも携わってきたイ・ソジン(Sojin Lee)が設立。ハーパーコンシェルジュは、システムエンジニアの経歴を持つリアム・ヤング(Liam Young)が設立した。

これら新しいコンシェルジュシステムの大きな利点は、返品の莫大なコストを削減できることだ。また新客の獲得においてもブランドを助けているといい、デザイナーのアナ・スイは「当初は、主に既に長期的な関係を持つニューヨークの顧客がサービスを使用すると考えていたが、新客にもリーチしている」と語った。またハーパーコンシェルジュを使用するブランドでは、平均注文額(AOV)が平均で50%増だった。トシの提携企業はAOVが平均40%増、収益は平均30%増だったという。今後は主要な美容ブランドで導入される予定だ。(Vogue Business

コメント:今はビデオやチャットのオンラインカウンセリング、ライブコマースでコミュニケーションを取ったり、高級感を配送ボックスで演出したりと色々な策が練られていますが、コンシェルジュはラグジュアリーブランドのオンライン販売における一つの解かもしれません。中国でも流行らないですかね?日本だと化粧品(特にスキンケア)はニーズありそうな気がします。

TOPICS|ECのパーソナライズ成功事例・elf Cosmetics

多くのブランドは、より高いコンバージョンと販売促進のための優れたデジタル体験の提供を目指している。しかしオンラインの競争率は爆発的に上がっており、リスクも伸びている。「エルフ コスメティクス(elf Cosmetics、以下エルフ)」はウェブやアプリ、広告などのオムニチャネルでパーソナライズされた顧客体験を実現するAIツール・ダイナミックイールド(Dynamic Yield)を利用し、ユーザーあたりの収益が4.2%増、顧客エンゲージメントが18%増となったという。

「エルフ」は主に米ウォルマートやターゲットなど大手小売店で販売されているが、オンラインチャネルを強化するため、自社ECでいくつかのパーソナライズされた機能を提供した。1つは商品ページに「You May Love(これも好きかも)」と違う商品のレコメンドを用意したところ、CTRが23.2%増、また他のプラットフォームと比較してもダイナミックイールドが最も優秀な結果を残した(+4.2%)。

Images : <a href="https://www.dynamicyield.com/case-studies/elf/?utm_source=beautymatter&utm_medium=referral&utm_campaign=casestudy">DynamicYield</a>

Images : DynamicYield

またニーズに合わせて最適な商品に最短でたどり着けるよう、閲覧履歴を基にしたメニューのパーソナライズを行った。例えば、ユーザーがスキンケアカテゴリを閲覧した場合、メニューバーにはクレンザー、フェイスマスク、トリートメントが登場する。メニューの最適化により、クリック率が17.6%増加し、訪問者を製品カタログのより奥まで導いた。(Beauty Matter

コメント:閲覧に基づくレコメンドの重要性はNetflixが代表例ですが、中国のTmall(天猫)やAliExpressといったECモールもレコメンド能力が非常に高く、(それ以外にも様々な施策はあるけれど)滞在時間を伸ばし、購入を促進しています。一度、AliExpressを使ってみてください。もう日本のECで商品を探せない、面倒くさい…と思うようになります(私は既にそうなってきてしまった)。しかしメニュー表示の最適化は自社ECとして面白い提案。色々応用がききそうです。

NEWS|一週間の主なニュースまとめ

・ポーラ・オルビスHDとANAが宇宙で使える化粧品を開発へ、2023年に商品化目指す

ポーラ・オルビス ホールディングスとANA ホールディングスが、製品を共同開発するプロジェクト「CosmoSkin」を発足した。ポーラ・オルビスグループでは、2018年にマルチプルインテリジェンスリサーチセンターを発足し、宇宙関連の取り組みを開始。極度に乾燥した宇宙船内の環境への対応や、地上とは異なる重力を踏まえた製品を開発することで、地上生活での化粧品に革新を生むことが目標だ。第1弾では、宇宙で使える化粧品を共同で開発、2023年の商品化を目指す。

・米Glossyの日本版がローンチ、Instagramとイベントが中心

2020年9月末、インフォバーングループのメディアジーンは、ビューティ&ウェルネスメディアGlossy Japanをローンチする。米Glossyの翻訳コンテンツに加え、日本オリジナルコンテンツとして、インスタグラムとイベントを中心に配信を開始。伝統的なブランドが手掛ける新事業から最新D2C事情まで、幅広く国内外の業界の動向を伝える。編集長は前MYLOHAS編集長の山岸祐加子氏。同時に、メディアジーンにブランドコンテンツ制作スタジオ「The STUDIO. Glossy & MASHING UP」が発足する。

TOPICS|SNSでこれバズった:LANEIGE「ネオクッション」

Photo:Laneige

Photo:Laneige

韓国アモーレパシフィックのスキンケアブランド「ラネージュ」の「ネオクッション」は、カバー力抜群で汗や湿気に強く、マスクでも崩れない!と学生〜20代を中心に話題になりました。まず火がついたのは韓国で、発売開始から3時間で売り切れに。その噂と、他にはないデザインが目を惹き、日本にも飛び火しました。7月頃から日本のYouTuberらが検証動画を公開し、その熱の高まりにQoo10のメガ割セールが重なって購入を検討する人が増えたことも、さらに話題となるきっかけに。

また「ネオクッション」はクッションファンデーションには珍しく、7色展開(通常は多くて3色くらい)。韓国製品は日本人には白浮きしやすいイメージなので、色味による失敗を減らせるのもメリットです。価格も2600円前後とお手頃で、ブルーライトカットの効果も。韓国での評判(ここ大事)、価格、機能性、そして若者受けの良いデザインの四拍子が揃ったからこそのバズだったと思います。

参考:マスクにつかないって本当?ラネージュの「ネオクッション」は“崩れにくい下地”難民の救世主アイテム(ISUTA

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お知らせ

来週のニュースレターは祝日が続くので火曜の配信をお休みし、中国・国際ニュースをまとめてお送りします。また10月からは不定期にテーマレターをお送りする予定です。今企画しているのは「中国で人気の海外製品/ブランド、なぜバズった?成功事例」「アフターコロナの店舗・ポップアップ事情」など、今送ってるトピックスを拡張した長めの記事です。

ですが、全然案が足りないので、リクエストが欲しいです!「こんな記事を読んだけど、似たような他の事例を知らない?」「企画書を作るのにこんな内容を調べたい、代わりにお願い」などなど…(どこまで期待に沿えるかは置いておいて!)一旦受け止めるので、こちらまでお送りください!

また、テーマレターは購読者のみにお送りし、ウェブ公開予定はありません。まだ購読はしてないという方は今のうちに購読してお待ちください〜

Writing : Anna Usui - supported by ‘the Letter’

経済紙などで執筆している美容業界ライターが中国の化粧品の最新ニュースから、世界の美容情報を独自の解説や考察をつけて、あなたのメールに無料でお届けします。

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