Weekly Global News|心と体のウェルネスブランドに注目

アットコスメがビジネス向け情報サイト、各社のSDGs最新動向、社長人事まとめ、「アツシナカシマ」がビューティ参入、YouTubeバズりを解説
臼井杏奈 2020.10.02
誰でも


今回はSDGsや社長人事などの固めの話から、次の注目の的になりそうなメンタルヘルス関連ブランドや、これバズった・YouTube編などトレンドものまでをお届け。YouTubeは有名なチャンネルなので、知らなければ必修です!

NEWS|@cosmeが化粧品ブランド向け情報サイト開設

アイスタイルは、化粧品ブランド向けポータルサイト「@cosme for BUSINESS」を1日にオープンした。@cosmeのビジネス活用に関する最新ニュースや使い方のヒント、成功事例のご紹介の他、化粧品マーケティングに関するコラムやセミナーなどで情報発信していく。

コメント:アイスタイルは直近で中国向け越境ライブコマース支援・MCN設立(別会社)や国内のライブコマース支援などを打ち出していましたし、今回の情報発信も含め、どんどんブランド支援を行う枠組みが出来上がっていて素敵ですね。メルマガも発行しています。

TOPICS|広がる環境問題・社会問題「SDGs」への取り組み

・シャネル、気候条項で6億ユーロの債券

シャネルは9月、人権とコーポレート・サステナビリティに関する担当を新設。人権問題への注意義務と努力に関するプログラムの構築、またサステナビリティプログラムのリーダーとしての役割を担う。15年には気候変動に関する取り組み「シャネル ミッション 1.5」をスタートし、その一環で地球温暖化の影響を受けやすい農場や起業家を支援するプロジェクトに、今後5年間で2500万ユーロ(約29億円)投資する予定だ。

また9月24日には、環境目標に関連する条項を含む6億ユーロのサステナビリティ連動債権(Sustainability-linked bonds、SLBs)を発行した。二酸化炭素排出量などで厳しい目標をクリアするための資金となる。取引構造によるとシャネルは、会社とそのサプライチェーン内の排出量削減に関する特定の目標を達成しない場合、債券が満期になるときにプレミアムを支払う必要がある。(ReutersWWD JAPAN.com

・ユニリーバがグーグルクラウドと提携、持続可能な調達を推進

ユニリーバはこの提携により、森林破壊の原因となる活動を回避しつつ、持続可能なパーム油を得る解決策を見つけることができるという。両社はクラウドコンピューティングを衛星画像やAIと組み合わせ、ユニリーバのサプライチェーンと交差する森林、水循環、生物多様性の全体像を構築することで、サプライヤーの持続可能な調達基準を引き上げることを目指している。(GlobalCosmeticNews

・「メイベリン ニューヨーク」が不安障害とうつ病を長期サポート

世界中の不安障害とうつ病をサポートする長期プログラム「Brave Together」を立ち上げる。プログラムには今後5年間にわたり1000万ドルを投資。特設サイトで世界中の人々にひとつのオンラインコミュニティーを提供し、メンタルヘルスの専門家やアドバイス、実際のメンタルヘルスに関する体験談などを発信する。(共同ニュースPRwire

コメント:SDGsの動きが盛んですが、環境問題にテクノロジーの力を使ったユニリーバの活動は特に注目です。サプライチェーンの透明化は社会課題であるだけでなく、消費者からも今後どんどんと注目を集めるでしょう(クリーンビューティはまさにその流れを受けている)。また環境だけでなく、メンタルヘルスは消費者からも注目が集まっています(この後のE.l.fのニュースを参照)。

NEWS|「アツシナカシマ」から初のビューティーライン

Photo:Instagram  @aa_cosme_official

Photo:Instagram @aa_cosme_official

「アツシナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)」が、2021年春夏コレクションを発表した。和服と洋服をドッキングしたドレスなど、「和魂洋才」をテーマに和と洋の融和を目指したコレクションは、ミラノファッションウィーク期間中にムービーで公開。ブランド初となるビューティは、イースマイルと協業したジェンダーフリーのライン。「NIBU筆」を採用し、愛媛県でしか採取できない成分である「マテラ鉱石」を配合したアイライナー「ニブ リクイドアイライナー BK1」を製作。公式サイトで予約販売を開始しており、店頭販売は2021年春を予定している。

コメント:ファッションとビューティって隣り合わせというか、一つのものと思っているので(出身媒体WWDの考えに染まっています。笑)、この発表は嬉しかった。アパレル発美容ブランドは珍しくありませんが、日本のファッションデザイナー発のビューティブランドってあまりない気がして。「マメ」とか「アンリアレイジ」とかもやらないかな、面白そう、とか色々妄想が捗りました。

NEWS|E.l.fがウェルネス・セルフケアブランド立ち上げ

米E.l.fは歌手のアリシア・キーズと共にウェルネスとセルフケアのブランド「Keys Soulcare」を立ち上げる。まず心、体、精神、つながりに関するマルチメディアコンテンツのみを提供し、12月からスキンケア製品やキャンドルなど製品を販売する。ウェブサイトKeysSoulcare.comとその週刊メールニュースレターにはキーズと編集スタッフ、SNSのマイクロインフルエンサー12人による記事、ビデオ、オーディオが掲載される。

コメント:欧米では数年前からマインドフルネスが定着し、その過程でCBD(大麻抽出物)などが注目されるなどメンタルヘルスやウェルネスに関するサービス・製品が登場しています。日本でも「SENN」がメディテーションなど内側から整えることに注目していたり、心と体を整える植物療法(フィトテラピー)のスキンケア&セルフケアブランド「Waphyto」がローンチしたり、疲れた現代人向けのアイテムが登場。コロナ禍でこの流れは加速しそうで、「Keys Soulcare」のように、より心や精神にフォーカスしたブランドが出てきそうな予感。

関連記事:足し算の美容に違和感 D2Cブランド「セン」の余白を作るスキンケア(WWD JAPAN.com

NEWS|化粧品企業の新人事まとめ

■資生堂ジャパン:社長兼COO(最高執行責任者)/直川紀夫(前・常務チーフサプライネットワークオフィサー)

経歴…近年は財務本部長 最高財務責任者CFOやチーフサプライネットワークオフィサーなどを歴任

■資生堂アジアパシフィック:アジアパシフィック地域CEO・社長/ニコル・タン(Nicole Tan)

経歴…2006〜14年にエスティ ローダー アジアパシフィック トラベルリテール地域本社でリージョナルブランドマネジャー、中国ジェネラルマネジャー

■花王:新社長/長谷部佳宏・代表取締役専務執行役員(2021年1月1日付)

経歴…2003年に化学品研究所所長、08年にハウスホールド研究所室長、11年にビューティケア研究センター ヘアビューティ研究所長などを経て14年に執行役員。現在は研究開発部門統括、先端技術戦略室統括、コンプライアンス担当も兼任。

■ロクシタンジャポン/メルヴィータジャポン:社長/小山順子(前・フェラガモ・ジャパン社長)…前任のニコラ・ガイガー(Nicolas Geiger)氏は同社会長に就任

経歴…11年にELCジャパン傘下「クリニーク」の事業部長に就任、19年2月からフェラガモ・ジャパン社長

■旅行小売事業DFS:会長兼CEO/ベンジャミン・ヴチョット(Benjamin Vuchot)

経歴…前セフォラ・アジア社長。今回の抜てきはデジタルイノベーションへの理解の深さが理由のひとつ。前にレターで送ったように、DFSは中国でWeChatを利用したライブコマースを実施するなどデジタルでコロナ禍の影響を抑えている。

出典:WWD JAPAN.com(資生堂ロクシタン/メルヴィータ花王)、米WWD(DFS

TOPICS|これバズった・YouTube編

今回のバズったは「YouTube売れ」。私も好きで度々見ている、YouTuberの門りょうさんを紹介します。知っている人は多いと思うのですが、知らない方は必修の売れっ子さんです。

彼女は元新地のキャバ嬢で、当時から有名人。その前は資生堂の美容部員でした。その美容知識と財力を注ぎ込んだ動画シリーズが「デパコス縛りメイク」。毎回1ブランドにフォーカスし、フルメイク分の商品を(あればブラシなどツールまで)購入するので、会計額がすさまじい。しかし基本は自腹購入です。

なぜそこまで売れるのかといえば、多い時で20点ほどアイテムを購入しても、本当に好きな2、3点しか褒めないから。そして自腹のため忖度がなく、良くないものはハッキリと「記憶に残らない」「悪くないけど私は使わない」と言い切るから。また抜群のメイクテクニックにより、猛烈に仕上がりが綺麗!思わず買いたくなってそのまま注文する人が多く、特にオンラインでの完売が早いです。録画なのにライブコマースのよう…。

完売した商品には「ルナソル」の「アイカラーレーション 03バタフライウィング」や「ゲラン 」の「マッドアイ マスカラ」、「ジル・スチュアート」の「クリスタルブルーム ジェリービジュー」など(まだまだある…)。新商品じゃないものも急に品切れになるので、ブランドからしたらやや複雑かも。このシリーズは基本自腹ですが、中には商品提供も。気になる方はこちらからご覧ください。

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先日のレターにはいろいろご感想や拡散をしていただきありがとうございました!嬉しい。別にSNSじゃなくて同僚やお友達との会話の中でとかでもいいので、広めてもらえたら嬉しいです。ありがたや。

レターへのご意見ご感想・リクエスト等々は、こちらまでお送りください!(返して欲しくないものは、返事不要と書いていただければ)

Writing : Anna Usui - supported by ‘the Letter’

経済紙などで執筆している美容業界ライターが中国の化粧品の最新ニュースから、世界の美容情報を独自の解説や考察をつけて、あなたのメールに無料でお届けします。

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